【DX奮闘記】「くだらない」と思ったら負け

目次
「くだらない」を見直したきっかけ
皆さん、こんにちは。廣瀬製紙株式会社のA.Mです。
システムに携わる者として、日頃から大切にしていることをお話ししたいと思います。
それは、新しい技術やガジェットが登場したとき、実際に使ってみる前から「くだらない」と決めつけないということです。
この考えに至ったきっかけは、実はスマートフォンの登場でした。
さらにいえば、それ以前からあったガラケーにおけるインターネットの機能です。
技術の進歩は私たちの想像をはるかに超えるスピードで進んでいます。
「こんなの役に立つはずがない」「今までのやり方で十分」という先入観は、時として自分の可能性を狭めてしまうこともあるのです。
私たち技術者にとって、新しいものに対する好奇心と柔軟な姿勢を持ち続けることは、とても重要だと考えています。
インターネット全盛期とiモード
私がまだ中学生、高校生だった1990年代後半から2000年代初頭にかけて、インターネットは一般家庭にも広く普及し始め、まさに全盛期を迎えようとしていました。
当時のインターネットといえば、デスクトップパソコンの前に座って、キーボードとマウスを使って操作するのが当たり前。
スマートフォンどころか、携帯電話でネットを使うなんて考えもしなかった時代でした。
そんな中で1999年、NTTドコモが始めた「iモード」サービスが登場しました。後のiPhoneが登場する8年も前のことでした。
iモードは、メールやニュース、天気予報など、さまざまな情報をいつでもどこでも携帯電話で見られる画期的なサービスでした。
日本が世界に誇れる革新的な技術だったのです。
とはいえ、今のスマートフォンと比べると操作性は格段に劣ります。
小さな画面に文字を詰め込んで表示するので見づらいし、ボタンを何度も押して文字を入力するのも一苦労。
それに、パソコンでネットを使うよりも通信料が高いのが難点でした。
それでも、外出先でもネットにつながる便利さは、特に多くの若者の心をつかみ、普及していきました。
今から振り返ると、iモードは現代のスマートフォン時代の先駆けとなった、とても重要なサービスだったといえるでしょう。
iモードと女子高生
iモードは若者世代、特に10代から20代の間で普及しました。
実際のところはわかりませんが、個人的なイメージとしては「女子高生がよく使っている」という印象が、初期のころには強かったように思います。
携帯電話でメールのやり取りができる。待ち合わせ場所で友達を待っている間にニュースが読める。電車の中で占いサイトをチェックできる──。
今では当たり前のことが、あの時代には画期的な体験だったのです。
ただし、パケット通信料金は今と比べるとかなり高額。
「メール中毒」や「サイト巡回」にハマってしまい、月々の請求額が10万円を超えてしまう女子高生が出たなどとニュースで取り上げられることもありました。
一方で、当時の私はおそらく中学生だったかと思いますが、インターネットといえばもっぱらデスクトップパソコン、という信念を貫いていました。
文字通り毎日PCの前に座ってインターネットに勤しんでいた私にとって、ガラケーで使うインターネットが「なぜあんな使いづらい画面で、高い料金を払ってまでネットを使うんだろう」と不思議でなりませんでした。
正直なところ、斜に構えて見ていたのです。
「ケータイでネットなんて絶対に使わない」
そう決めつけていた私。今となってはちょっと恥ずかしい思い出です。
実は、あの頃のiモードユーザーたちこそが、現代のスマートフォン社会の先駆者だったのかもしれません。
iPhoneの登場とスマホ時代
2007年にiPhoneが登場し、その後スマートフォンが爆発的に普及していくことで、私たちのインターネット利用のスタイルは大きく様変わりしました。
当時、PCでしかインターネットを使わないと決めていた私の想像をはるかに超えて、世の中は mobile first とも呼ばれる時代へと突入。
今では電車の中でスマートフォンを操作する人々の姿が当たり前の風景となり、PCよりもスマートフォンでインターネットにアクセスする時間のほうが圧倒的に長くなっています。
この経験から私は大切な教訓を得ました。
それは、新しい技術やデバイスが登場したときには、たとえ一見すると「使いづらそう」「面倒くさそう」と感じても、できるだけ積極的に触れてみようということ。
そして、もし使う機会がなかったとしても、使わないまま「くだらない」と決めつけないようにしようということです。
というのも、技術の進歩は私たちの想像以上に速いもの。
たとえその時には「使いづらいな」「メリットがない」と感じられたとしても、一気に技術が進み、人々の生活必需品にとって代わる可能性があります。
自分で貼ったレッテルを剥がす
新しい技術や道具に対して、「くだらない」とレッテルを貼ってしまうことは仕方ありません。
新しいものを試すことはエネルギーが必要で、しんどいものだからです。
ですがそんななかで一度新しい波に乗り遅れてしまうと、気づいたときには大きく水をあけられ、もう追いつくことができなくなってしまいます。
そんな危機感を、iモードを「くだらない」と思っていた過去の自分への反省から、今も強く抱いているのです。
だからこそ、自分で貼ったレッテルを、できる限り自分で剥がす機会を作るようにしたいと思っています。