廣瀬製紙株式会社

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【DX奮闘記】AIエージェントとDX

公開日:2025.02.06 更新日:2025.02.06
AIエージェントのイラスト

OpenAIが「Operator」を発表!

みなさん、こんにちは。廣瀬製紙株式会社 稼働率向上PJチームのA.Mです。

先日、ChatGPTを開発するOpenAIから新しいサービス「Operator」が発表されました。

このOperatorが注目を集めている理由は、AIが私たちの代わりにウェブブラウザを操作できるようになるという画期的な機能を持っているからです。例えば、「〇〇について調べて」と指示すると、AIが自動的にブラウザを開いて検索し、必要な情報を収集してくれるのです。まるでパソコンに詳しい優秀なアシスタントがいるような感覚です。

残念ながら現時点(2025年2月6日)では日本での利用はまだできません。しかし、このような技術の登場は、私たちの働き方が大きく変わる可能性を示唆しています。
特に企業のDX推進において、Operatorのような AIエージェントの存在は、業務効率化の新しい扉を開くものとして期待されています。人手不足に悩む日本企業にとって、こうした技術革新は朗報と言えるでしょう。

私たち稼働率向上PJチームは、廣瀬製紙のDX化を進める担当チームとして、このような最新技術の動向には常にアンテナを張り、どのように活用できるか検討を重ねています。和紙の伝統技術と最新のAI技術の融合。そんな新しい可能性を、皆さんと一緒に考えていけたらと思います。

Operatorでできること

Operatorの登場により、私たちの日常的なWeb作業の多くを自動化できる可能性が広がっています。

では一体Operatorにどのようなことができるのでしょうか?

基本的には、人間がWebブラウザで行うほとんどの操作を、Operatorが代わりに実行できるようになると考えられます。

例えばレストランの予約、オンラインショッピングやイベントチケットの購入、SNSの投稿や管理、ウェブサイトからの情報収集、日常業務の自動化、旅行計画の提案と予約など。

Operatorは単なる自動化ツールを超えて、私たちの仕事や生活をより効率的で豊かなものにする可能性を秘めています。まさに、人間の「エージェント」として、これまでにない便利さをもたらしてくれそうだと感じています。

AIエージェントが当たり前になる近い未来

少し前までSFのような話だったAIエージェントですが、もはや現実のものとなっています。

テクノロジーに対して先進的な企業では、いちはやくOperatorなどを業務に取り入れるでしょう。
ですがOperatorはあくまでWebブラウザを操作するという役割ですので、誰もが使えて、かつ汎用的なタスクをこなしてくれる一方で、会社のコアなシステムに組み込まれたAIエージェントとは本質的に異なります。

会社のコアなシステムに組み込まれ、コアな業務に対して専門的にタスクをこなしてくれる、そのようなAIエージェントが多くの企業で本格的に導入・活用され始めるのは、おそらくまだ数年先になるでしょう。
各企業のエライ人たち(失礼)から「うちもAIエージェントを導入すべきではないか?」という声が上がってきたらたぶんそのときがいちばんのAIエージェントブームなのではないでしょうか。

AIエージェントの導入により、これまで人間が行っていた定型的な業務の多くを任せられるようになります。たとえば、月額30万円の人件費がかかっていた業務が、AIエージェントなら10分の1の3万円程度で実現できる――そんな世界が、決して大げさな話ではなく、現実のものとなります。

ここで「AIに仕事を奪われてしまうのでは?」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そう悲観的に考える必要はありません。AIエージェントの導入は、私たち人間の仕事がなくなることを意味するのではなく、仕事の内容が変わるということなのです。
むしろ、AIエージェントに定型業務を任せることで、私たちは本来取り組むべき創造的な仕事や、より価値の高い業務に集中できるようになります。例えば、データ入力やスケジュール調整といった作業から解放され、戦略立案や商品開発、お客様との対話など、人間にしかできない仕事により多くの時間を使えるようになるのです。

このように、AIエージェントは私たちの「仕事の質」を大きく向上させてくれる心強い味方になるはずです。新しい技術を受け入れ、上手に活用することで、より充実した、やりがいのある仕事ができる未来が待っているのではないでしょうか。

AIエージェント導入におけるネック

AIエージェントの導入を検討する際に最も大きな課題となるのが、企業の既存システム環境です。特に長年使い続けてきた古いシステム(レガシーシステム)の存在は、スムーズな導入の妨げとなる可能性が高いと言えます。
なぜなら、AIエージェントが効果的に機能するためには、システムとの円滑なコミュニケーションが不可欠だからです。

例えば、あらゆる処理がAPIを通じて呼び出されるような設計のシステムであれば、AIエージェントの導入ハードルは低いでしょう。しかしそのような設計がされていない閉じたシステムの場合、AIエージェントとの連携には大きな技術的ハードルが存在します。

このような状況を踏まえると、現在まさにシステムの更新や入れ替えを検討しているといった場合には、AIエージェント導入の可能性も視野に入れた検討をしておくのがよいのではないでしょうか(今導入するかどうかという話ではなく、後から導入できるようなシステムにしておくという話)。

「後からAIエージェントを導入しようとしたが、システムの制約で断念せざるを得なかった」という事態を避けるためにも、今のうちから将来を見据えた準備が重要です。
AIエージェントの導入を将来的な選択肢として残しておくことで、より柔軟な業務改善の可能性が広がるからです。

AIエージェントとセキュリティ

企業が導入しているシステムにAIエージェントを組み込む際には、セキュリティ面での信頼性も重要です。

ChatGPTなどの生成AIを使うにあたって、プロンプトとして記述した内容は基本的にはネットワークを通じて外部のサーバーに送られます(例えばChatGPTであればOpenAIのサーバー)。
また、送られたデータはAIのモデルの学習に使われる場合があります。

プロンプトとして記述した内容が直ちに全世界に公開されるというわけではないのですが、学習されたデータがなんらかの形で外部に出てしまう、という可能性はあります。
そのようなことを避けるために、いくつかの方法があります。

ChatGPTに関して言えば、例えばteamsプランに加入すればデータが学習に使われないと明言されていますし、また個人のプランでも設定→データコントロールから学習をオフにする設定があります。
しかしそれより強固なセキュリティが必要であればEnterpriseプランに加入するという選択肢もあります。

またそれとは別に、Microsoftが提供しているAzure ChatGPTを使うというのも、強固なセキュリティを担保する上で有力な選択肢ですし、また自社に技術力がある場合は、Meta社のLlama等のオープンソースLLMをオンプレミスで動かして使用する、という選択肢もあります。

AIエージェントを使う場合も上記と同じで、特に後者の2つ、Azure ChatGPT APIのようなセキュリティを担保したAPIを使う or オンプレミスでLLMを動かす、の2つが主流になるかと思います。

特に、APIで従量課金で料金が発生することを嫌って、オンプレミスで実行する方法が一番人気になるのではないでしょうか。

先日中国製のLLMとして発表され、格安の料金にもかかわらずChatGPTの4oやo1とも引けを取らないとして大変話題になったDeepSeekも、ブラウザで使うにはセキュリティリスクが大きすぎると敬遠されていますが、元がオープンソースのためオンプレミスで動かすなら問題ない、とされています。

DeepSeekが発表されたことで、ChatGPTやGeminiといったクローズドなLLMにとっては大きな脅威となりましたが、元々オープンソースのLlamaを提供するMetaはむしろ評価を上げたように感じます。
クローズド vs オープンの覇権争いもまた目が離せません。

おわりに

AIエージェントの活用は、もはや「もしも」の話ではなく、「いつから」という時期の問題になっています。私自身も、様々な業務効率化の可能性を秘めたこの技術に大きな期待を寄せています。

確かに、多くの企業にとって本格的な導入はまだ先の話かもしれません。特に既存システムとの兼ね合いを考えると、すぐに導入とはいかないでしょう。

しかし、今からAIエージェントの可能性について社内で議論を始め、将来の導入に向けた準備を進めることは非常に重要です。例えば、システムのアップデート時期に合わせて、APIでの連携を前提とした設計を検討したり、業務フローの見直しを行ったりすることで、スムーズな導入が可能になります。

逆に、何の準備もせずにいると、競合他社との差が開いてしまう可能性もあります。今から数年後、いえ、早ければもしかすると1-2年後、本格的な導入を検討する段階になって「あの時、対応しておけば…」と後悔することのないよう、私たち一人一人が変化への準備を始めていく必要があります。

AIエージェントは、私たちの働き方を大きく変える可能性を秘めています。この変化を前向きに捉え、より創造的で価値のある仕事に集中できる環境づくりを、今から少しずつ始めていきましょう。