いま、最も世界が注目する紙から生まれた新素材、それが「ナノファイバー不織布」です。ナノファイバー不織布は、メディカルやエネルギーといった成長が著しい分野で、夢を実現する新素材として注目を集めています。
ヒロセでは、最先端技術であるこのナノファイバー不織布を応用した新製品の開発に挑戦しています。
髪の毛の100分の1というナノの世界
ナノファイバーとは、繊維径が1~1000nmの極細繊維です。
マイクロよりも小さいナノの世界、例えるならば髪の毛の太さが0.1mm(=100,000nm)だとすると、その100分の1のサイズということになります!
超極細な素材ということがよくわかりますよね。
ナノファイバーは、その超極細な素材の性質上、例えば吸着材料として応用する場合、重さ当たりの表面積が100~10,000倍大きく、飛躍的に吸着量が大きくなります。
また、フィルターとして利用する場合、分子や粒子の流体がナノファイバーに接すると、空気の速度がゼロにならない(繊維表面を滑る)現象、スリップフロー現象が起きるため、濾過抵抗を低減できます。
再生医療などの様々なシーンで活用が期待される、夢の新素材
このような特徴から、ナノファイバーは様々な分野での活躍が期待されています。
例えば光学分野では、繊維径が光の波長より短いため、透明性が高いメリットがあります。また、細胞が認識し結合する現象が起きるため、ライフサイエンス分野では再生医療でも注目を集めています。
既に現在も、再生医療研究の細胞培養の足場材料として使われており、今後は人工皮膚にも活用が期待されています。
また、吸水性が高いので、薬剤を吸収させて火傷や傷に貼ることで創傷被覆材としても利用できるでしょう。
さらに身近なところでは、皆さんが毎日つけているマスク。これにナノファイバーを応用すれば、より細かい粒子をキャッチしつつ、呼吸しやすいマスクを作り出すことができると考えています。
空気は通しても、水は通さない新機能を搭載したマスク……なんてあったら、ちょっと面白いと思いませんか?
カプセルなどの飲み薬にも!
今後ナノファイバーは、飲み薬への応用も期待されています。
ナノファイバーで薬を囲んだり、カプセル自体をナノファイバーで作ることで、薬が体内で少しずつ溶け出るようになるからです。
・表面積が極端に多いこと(超比表面積効果)
・スリップフローや光学的透明性などのナノサイズ効果
・内部の高分子鎖がまっすぐ並ぶこと(超分子配列効果)
といったナノファイバー固有の特徴を活かす材料設計が上手くいった時に、これらの製品の実現が可能となるでしょう。
ヒロセにしかできない技術が、世界へ
このようにナノファイバーは、フィルター、吸着材、塗料、複合材料、電池材料、再生医療など、様々なアプリケーションでの可能性を持っているため、その優れた特徴に世界が注目しています。
しかしナノファイバーには、量産が難しいという弱点もあります。
まだまだ小さいナノファイバー市場。でも、その潜在的な需要規模はかなり大きいことが予想されます。
弱点である量産性の難しさに対して、いち早く開発を行い、ヒロセ・オリジナルの生産技術で開発を加速し、未来へ向けて大きく前進していきたいと考えています。