廣瀬製紙株式会社

TECHNICAL COLUMN 技術コラム

廣瀬製紙の極薄不織布について
独自の湿式抄紙技術が実現する均一性に優れた低坪量シート材料

公開日: 2026.05.07 
更新日: 2026.05.07
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様々な製品で小型化や軽量化が求められている昨今、それを構成する部品においても特徴はそのままに、より小さく、より軽くする技術の需要は年々増加し続けています。この記事では廣瀬製紙が得意とする極薄かつ均一な不織布の特徴と、極薄化を可能にする製造技術、そして代表的な用途に関して詳しく解説します。

廣瀬製紙の極薄不織布の特徴

廣瀬製紙の不織布は湿式法と呼ばれる水に繊維を分散する製造方法によって製造されます。湿式法は厚みが均一なシート(ウェブ)を形成できるという特徴があるため、極薄化に適した製造方法といえます。この技術を基盤として、原料特性を活かしながら低坪量化を実現した多孔質シートこそが、廣瀬製紙が作る極薄不織布です。

一例として、廣瀬製紙における代表的な原料別極薄不織布の下限坪量と厚みの目安を表にまとめました。一般的には坪量10 -30g/㎡程度が極薄と言われる中で廣瀬製紙の極薄不織布は10g/㎡以下での製造が可能です。

繊維の種類 坪量 厚みの目安 特徴
ポリオレフィン 2 g/㎡ 20~30μm 疎水性・耐薬品性・ヒートシール性
ポリエステル(PET) 3 g/㎡ 20~40μm 耐熱寸法安定性・平滑性・樹脂接着性
ビニロン 8 g/㎡ 50μm~ 親水性・耐アルカリ性・高強度
ポリフェニレンサル
ファイド(PPS)
10 g/㎡ 30~50μm 耐熱性(最大連続使用温度200~220℃)・耐薬品性・難燃性
※厚みは設計条件により変動します。

とくにポリオレフィン2 g/㎡クラスは湿式不織布として極めて低い坪量領域であり、高機能支持体用途で実用化されています。またPPS繊維100%の湿式不織布化は、従来困難とされてきた高機能繊維の安定抄造を可能にした技術的成果の一つです。

極薄化の難しさ

では極薄化を実現するための技術的な課題は何でしょうか?

結論から言いますと、繊維分散のわずかなムラを徹底的に減らす点にあります。坪量を下げるほど繊維分散のわずかなムラがピンホールや強度低下として顕在化します。特に2~3 g/㎡クラスでは繊維の比重差や水との親和性による分散挙動の違いが品質に直結する為、工程全体の精密制御が不可欠となります。

原料によっては原料繊維の選択肢が限られ、材料特性自体が低坪量化の制約となる場合もあります。このような現象を制御してムラを排除する必要があるため、極薄湿式不織布は長年の工程設計ノウハウがあって初めて安定生産が可能となる製品です。

極薄化を可能にする製造技術

まず、湿式不織布は以下の4工程で製造されます。

① 原料の分散:単繊維レベルまで解きほぐして、均一なスラリーを調製。
② ウェブ形成:和紙と同様に抄造し、水中で均一な繊維層を構築。
③ 結合:熱・圧力制御により一次強度を付与。
④ 加工:カレンダー加工等により厚み・空隙率・機能を調整。

ここまでで述べました通り、極薄化を可能にするために最も重要な工程は②のウェブ形成工程であり、特に繊維の分散性、流速制御、濾水条件の最適化が重要となります。繊維素材に応じて分散と抄造の条件を最適化する製造ノウハウこそが低坪量と均一性の両立を可能とし、極薄不織布を実現する要となります。

極薄不織布の用途(原料別の適性)

では最後に、極薄不織布が具体的にどんな用途に適するのかを見ていきます。

極薄であることと原料繊維の機能的特徴が組み合わさることで適する用途が見えてくるため、このパートでは繊維の種類別に用途例をまとめました。

繊維の種類 適する用途の例
ポリオレフィン ・エアフィルター(疎水性・低圧損設計)
・電池関連用途(耐薬品性)
ポリエステル
(PET)
・電磁波シールド材(平滑性・後加工適性)
・真空断熱材支持体(寸法安定性)
・全固体電池関連用途
・LiBセパレータ基材
・文化財の修復材料
ビニロン ・次電池セパレータ(親水性・耐アルカリ性)
・イオン交換膜支持体
ポリフェニレンサル
ファイド(PPS)
・イオン交換膜(高耐熱・耐薬品性)
・テープ基材
・シールド材
・LiBセパレータ基材

全般的に、軽量で薄く、柔軟性に優れる特性を活かして機能層の支持体やスペース制約の厳しい設計に適しています。電気機器への電磁干渉を防止または軽減する特性も有しており、導電性接着層を採用することで機器への取り付けも容易です。極薄かつ多孔質という特徴を活かして断熱真空ジャケットのスペーサーとしても利用でき、熱伝導を抑えたい層の間に挟むことで断熱効果を高めることも可能です。

まとめ

廣瀬製紙の極薄不織布は、湿式不織布の均一分散技術と精密抄造制御を基盤に、低坪量領域でも安定した品質を実現しています。この記事では代表的な繊維と秤量を挙げて説明をさせて頂きましたが、お客様の用途や要求特性に応じた設計検討ももちろん可能です。軽量・小型で高機能な極薄不織布をお探しでしたらぜひお気軽にお問い合わせください。弊社の専門チームが喜んでお答えさせて頂きます。