かかしに見つめられる村─ 名頃かかしの里へ
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出発の朝:名頃かかしの里へ
休日の朝、父とツーリングへ行こうという話になり、この日は徳島方面へ向かうことにしました。もともとは剣山方面を走るつもりでルートを調べていたのですが、その途中で気になる場所を見つけました。
三好市東祖谷にある「名頃かかしの里」です。村のあちこちに、たくさんのかかしが立っている場所として知られていて、居ても立っても居られず、すぐに行くことにしました。
父とのツーリングは今回で2回目。朝8時前、自宅を出発しました。出発した時点で「今日は気持ちよく走れそうだな」と感じられました。
3時間の道のりと、Google Mapに仕掛けられた罠
目的地までは片道およそ3時間。街中を抜け、少しずつ山の景色へ変わっていく道を進んでいきます。建物が減り、視界に山が増えてくると、肌寒く、日常から離れていく感覚が強くなっていきます。
道中は他の車やバイクがほとんどおらず、自分たちのペースで気持ちよく走ることができました。周囲の景色もゆっくり楽しめて、移動している時間そのものが心地よく感じられました。
とはいえ、時間がたつにつれて、お尻が痛くなりはじめ、途中で休憩をはさみながら進みました(笑)。
そんな道中で印象に残ったのが、Google Mapに連れてこられた道です。案内された道通りに進んでいくと、かなり細い山道に入り、路面には落ち葉や木の枝が散らばっていました。場所によっては滑りそうな箇所もあり、実際カーブで滑ってしまう場面もありました。これから訪れる方は、事前にルートをしっかり確認されることをおすすめします。
本当にこの道で合っているのかと不安になりましたが、しばらくすると普通の道に戻ることができました。そしてその途中、道の上の方からこちらを見下ろすようにかかしが配置されており、それを目印に進んでいきました。
名頃かかしの里に到着
そうして11時頃、名頃かかしの里へ到着しました。まず驚いたのは、遠目にみたときに人なのか人形なのかわからなかったことです。道端や建物の近くに自然に立っているので、いまにも動きそうに見えます。
山あいの静かな集落の中に、人がいるようでかかしがいる。独特の雰囲気を味わえました。
圧巻の体育館:人間と見分けがつかないかかしたち
現地で特に印象に残ったのが、学校の体育館のような大きな建物です。扉を開けた瞬間、思わず声が出そうになりました。中にはかかしがびっしりと並んでいたのです。
その数と、何より精巧さに圧倒されます。服を着て、ポーズをとって、表情まで作られたかかしたち。もし本物の人間が数人紛れ込んでいたとしても、おそらく気づかないでしょう。「不気味」という言葉がこれほど似合う光景は、なかなかありません。
写真で見るのと、実際にその場に立つのとでは、まったく違います。無数の視線を一身に受けているような、あの独特の圧迫感は、行ってみないと体験できないものでした。
村全体が「かかしのいる日常」
体育館を出て、村の中をひととおり歩いてみました。すると、かかしは体育館の中だけではありませんでした。道端に、田畑に、家の前に、──村のいたるところに、かかしたちが立っているのです。
不思議だったのは、実際に住んでいる人をほとんど見かけなかったことです。観光客は数人程度いましたが、村に住んでいる方に出会えたのは、たった1人だけ。人の気配はあるのに、人がいない。その対比がまた、この村の不思議な雰囲気を醸し出していました。
帰路と感想:お尻の痛みも旅の思い出
昼食後、帰路につきました。帰りは途中から小雨が降り始めたので、雨具を羽織りながら走り続け、16時頃に自宅へ到着。トータルで8時間ほどの日帰りツーリングでした。
帰り道、お尻の感覚がかなりなくなっていました。さらに腕もしびれており、長時間バイクに乗り続けると、これがなかなかこたえます。それでも、あの体育館でのあの感覚を思い出すと、「また来たい」と感じてしまうのですから、旅とは不思議なものです。
「面白そう」と思ったら、とりあえず行ってみる。そのシンプルな気持ちが、今回の旅を生み出してくれました。「天空の村・名頃かかしの里」は、アクセスは少し大変ですが、その分だけ訪れる価値のある場所です。気になっている方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。







