廣瀬製紙株式会社

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全自動化?その前にやることがあるでしょう。
全自動化を進めるまえに必ず考えておくべきこと

公開日: 2026.04.06 更新日: 2026.04.06
ブログのサムネイル:ロボットと一緒にブロックを積み上げている男性のイラスト。

はじめに:全自動化の夢と現実

「これ、AIで全自動化できるんじゃない?」──そう思ったことはありませんか? 毎週やっている調査、ブログの執筆、SNSの投稿。どれもパターン化されたルーティーン作業ばかり。AIエージェントに任せれば、自分は手を動かさなくて済むはず。そんなふうに考えたことがある方は、きっと少なくないのではないでしょうか。

私も、まさにそう考えたひとりです。廣瀬製紙の社内ソフトウェアエンジニアとして、日常的なルーティーン業務をAIエージェントで全自動化(もしくは半自動化)できないかと挑戦してみました。「こんなの簡単に自動化できるでしょ?」と、正直なところ軽く見積もっていたところがあります。

結論から言えば、そのやや見立ては甘かったところがあり、いざ運用する段階になって使いづらさから段々と放置されるようになっていってしまいました。ただ、この挑戦を通じて大事な気づきを得ることができました。今回はその経験をお話しします。

全自動化に挑戦してみた

まず手をつけたのは、ブログ執筆の自動化でした。ソフトウェアエンジニアとしてネタ出しや手を動かして何かモノづくりをする、というところは業務の中で自分で行っていることですが、その後のブログ執筆に向けた調査、検証、アウトライン作成、本文の執筆、英訳、そして投稿まで──一気通貫で自動化する仕組みを構築しようとしたのです。

そのひとつとして、例えばGitHub Actionsを使ってテック動向の週次調査を自動化しました。AIが最新の動きをピックアップし、その中からユーザー(私)が選んだトピックを統合し、かつ私の所感をコメントとして残したうえでひとつのアウトプットに仕上げる。そんな仕組みです。

ブログだけではありません。SNS運用の自動化にも挑戦しました。既存のブログ記事の内容をSNS向けに要約し、スケジュール投稿するという仕組みです。さらに社内システムのUI作成にもAIを活用しようとしました。

仕組みはできた、でも使わなくなった

仕組み自体は構築できました。動くには動くのです。でも、全体の使用感がどうにもいまいちで、結局使わなくなってしまいました。

なぜか。ブログ執筆ひとつとっても、「ネタを考える」「調査する」「手を動かして検証する」「アウトラインを考える」「各セクションの内容を考える」「文章を執筆する」「英語化する」と、実は細かいタスクがたくさん含まれています。それぞれのタスクの精度が低いと、アウトプット全体がいまいちになってしまうのです。

そして、もうひとつ見落としていたのが保守・改善コストでした。全体を統合的な自動化ツールとして作ると、全部が完璧に使いやすくならない限り運用に乗りません。少しでも不便な箇所があると、結局手作業に戻ってしまう。かといって全体を改善しようとすると、そのコストが非常に高くつく。面倒になって、だんだん触らなくなっていきました。

気づき:業務は「細かいタスクの集まり」だった

この経験で気づいたのは、一見シンプルに見える業務も、実際には細かいタスクの集まりでできているということです。

ブログ執筆を例にすると、少なくとも7つ以上のタスクに分解できます。ネタ出し、調査、検証、アウトライン作成、内容の検討、執筆、英訳。それぞれが独立したスキルを要求するタスクだということを、意識できていなかったのです。

全体統合型のアプローチだと、これらすべてが完璧に機能しないと運用に乗りません。どれかひとつでも品質が低ければ、全体の印象が「使いづらい」になってしまう。SNS運用やUI作成でも、まったく同じ壁にぶつかりました。

タスク分解アプローチへの転換

そこで、アプローチを切り替えることにしました。全自動化を一旦諦めて、手作業の効率化と割り切る。そのうえで、分解したタスクのひとつひとつを徹底的に使いやすくしていく方式です。

たとえば、ブログ執筆なら「インタビューからブリーフを生成する」というタスクだけを切り出して、そこだけを徹底的に磨き込む。ひとつのタスクの自動化が十分に使いやすくなったら、次のタスクに取りかかる。地味ですが、着実に効率化が進んでいきます。

このアプローチの良いところは、個別のタスクなら保守・改善の範囲が限定的で、コストが低いことです。全体を一度に面倒を見る必要がないので、改善サイクルを回しやすいんですよね。そして、個別最適化を繰り返していった先に、やがて全自動化が待っている。そう考えると、遠回りに見えて実は最短ルートなのかもしれません。

まとめ:急がば回れ

全自動化という目標自体は正しいと思っています。でも、そこに至るアプローチが大事でした。

いっきに全自動化しようとすると、意外なほどコストが高くつきます。まず運用面に乗せるまでのハードルが高くなる。そうしているうちに、結局手作業でやったほうが速くね? と段々使わなくなる・・・。保守・改善コストを過小評価していた過去の自分がそうです。まずタスクを分解し、ひとつずつ丁寧に自動化していく。その積み重ねの先に全自動化がある。

もし「AIで全部自動化しよう!」と意気込んでいる方がいたら、まずは業務をタスクに分解してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。急がば回れ──一歩ずつ進めるほうが、結局は楽になるはずです。

松村あきのプロフィール画像

この記事を書いた人

情報企画チーム 松村 晶(まつむら あき)

2024年11月廣瀬製紙株式会社入社。

書店・福祉・飲食業などを経験したのち、システム開発畑に転向。

転職をきっかけに生まれの地である高知市に移住し、現在は社内SEとして、社内のDBシステム開発やDX関連のシステム開発を担当している。

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