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インターネットの裏側:AS(自律システム)とは何か?

公開日:2025.08.04 更新日:2025.08.04
町とネットワークのイラスト

はじめに:インターネットの“単位”ASとは?

インターネットってどうやって世界中とつながっているのか、不思議に思ったことはありませんか?
実は、インターネットは無数の「AS(エーエス)」と呼ばれる単位が集まって作られています。

ASとは「Autonomous System(オートノマス・システム)」の略で、日本語では「自律システム」と呼ばれています。
少し難しく聞こえますが、かみ砕いて言うと「単一の運用ポリシーによって管理されるネットワークの集合体」のことです。

例えば、NTTやソフトバンクといった通信会社(ISP:インターネット・サービス・プロバイダー)は、それぞれ独自のネットワーク設備を持っています。
また、GoogleやAmazonのような大企業も、膨大なサーバーやデータセンターを運営しています。
このように、自分たちでネットワークを管理・運営している組織が「AS」という単位で区切られているのです。

そして、それぞれのASには「AS番号(ASN:AS Number)」という固有の識別子が割り当てられています。
この番号があることで、自組織のネットワークを一意に識別し、経路情報の交換を効率的に行える仕組みになっています。

AS番号は世界中で重複しないように管理されています。
インターネット全体では、IANA(インターネット番号割り当て機関)が各地域のレジストリに番号を割り当てており、アジア太平洋地域ではAPNICがその役割を担っています。日本国内向けの割り当てや調整は、APNICと連携してJPNICが取りまとめています。

こうしてこれらのASが「BGP(Border Gateway Protocol)」という『道案内の仕組み』を使って、自分が持つ IPプレフィックス(宛先)の経路情報を交換し合いながら、データを最適なルートで送り合っています。
高速道路の看板に従って進むイメージをすると近いかもしれません。

世界を支える巨大AS:GoogleやMetaなどのビッグテックはどんなASを持っている?

インターネットの巨大な世界は、私たちがよく知っているビッグテック企業たちに支えられているといっても過言ではないでしょう。

GoogleやMicrosoft、Meta(旧Facebook)、Amazon、Appleといった企業は、それぞれ独自のAS(自律システム)を運営しており、まさにインターネットの大動脈とも言える存在になっています。

まず、私たちが毎日のように使っているGoogleを見てみましょう。GoogleはAS15169という番号を持っており、これは世界でもトップクラスに有名なAS番号の一つと言えるでしょう。

このAS15169から、Google検索、YouTube、Gmail、Google Cloudなど、私たちが日常的に利用するサービスが配信されています。

Googleのネットワークは世界中に張り巡らされており、どこからアクセスしても高速でサービスを利用できるのは、この巨大なAS基盤があるからこそなのです。

次に、Meta(旧Facebook)はAS32934を運営しています。

FacebookやInstagram、WhatsAppといったSNSサービスは、このAS32934を通じて世界中のユーザーに届けられています。
特にSNSは大量の画像や動画データを扱うため、Metaは世界各地にデータセンターを設置し、効率的にコンテンツを配信できるよう工夫しています。

Amazonも見逃せません。AS16509やAS14618など複数のAS番号を持ち、通販サイトのAmazon.comだけでなく、クラウドサービスのAWS(Amazon Web Services)も運営しています。

実は、私たちが普段使っているウェブサイトやアプリの多くが、裏でAWSを利用しているため、Amazonのネットワークは現代のインターネットにとって欠かせない存在となっています。

そして、インターネットの高速化やセキュリティを提供する重要な中継役であるCloudflareです。

AS13335を持つCloudflareは、ウェブサイトの表示を速くしたり、サイバー攻撃から守ったりするサービスを提供しています。
世界中に配置されたサーバーを通じて、私たちが訪れるウェブサイトをより快適に利用できるよう支えてくれています。

これらの巨大企業が単独でインターネットを支えているわけではなく、異なる自律システム同士が経路情報を交換し合うことで全体としてつながっているというのはとても興味深いですし、普段当たり前のようにWebブラウザを使って様々なサイトを閲覧している裏側で、複雑な仕組みがあるということに驚くばかりです。

こうしたビッグテック企業の AS は、私たちの日常生活で使う検索やSNS、クラウドといったサービスを支える重要な基盤になっています。

次回、Googleで検索をしたり、Instagramに写真を投稿したりする時は、その裏で動いているASの存在を少し思い出してみてください。

きっと、インターネットがより身近で興味深いものに感じられるはずです。